令和2年9月6日インタビュー


 明知下は平成13年(2001年)に写真集を、平成17年(2005年)に区誌を発行しました。
 発行に当たっての情報収集や編集は大変な作業であったことと思います。
 編纂委員会委員長であった小野田英久さんに当時を振り返り、明知下区誌編纂の苦労話をまじえて聞いてみました。




 懐かしい家族写真を残そう

区誌の発行は、以前から区の中で話し合いがもたれていましたが、
なかなか事業化できずにいました。

 最初の取り組みとして現在の区在住の家族写真を残そうと、公共施設、年中行事、そして区民の家族写真を集めました。
 プライバシー侵害、子供の誘拐など危惧する声もありましたが、7割5分くらいの家が写真を提出してくれました。

 それらの写真をまとめて、「わたしたちのふるさと―2001年の明知下」を250部印刷し、区民希望者に一冊1,000円で買ってもらい、200冊ぐらい売れました。

 この写真集がきっかけとなり、「区誌をやろう。」ということで、区選出の編纂委員を中心に始めたのがきっかけです。 
 
発行された写真集と明知下区誌
   

 区の歴史や先人先輩の業績を中心に、書物としてをまとめようと区で決めたのは、私が副区長の時でした。
 平成11年に区総会で準備委員会を発足させることが認められました。
 準備委員会を2年続け、13年度に編纂委員会を立ち上げました。
 何から手を付ければよいか迷うことばかりでした。
 さらに、明知下にはあまり文書が保存されていないので、文献の確保にも苦労しました。
 このためまずは、先に発行された新屋の関係者にお話を伺いました。




 部会委員や協力者が全力で取り組んだのでみんな見て欲しいですが、特に西山耕地整理(西山墓地)、昭和初期の農村更生運動、そして明知下の一大変化のあったトヨタ自動車の工場誘致、特に高岡工場関係は是非皆さんに読んで欲しいと思います。

 明知下西側の丘陵地帯は、大正14年に明知下耕地整理組合により整地が始まり、一部を共同墓地として散在していた墓地が集約されました。
 昭和62年より大規模な畑地帯の土地改良事業を実施しました。畑整備が主で、ブドウ・カキ・お茶が植えられ、西山墓地もその後何度か整備を経て、現在の景観を整えました。平成2年に土地改良事業は完了しました。 
 現在この一帯は「平成」地区と言います。 

 昭和初期の農村更生運動は、米作と養蚕に頼っていた農業を果樹栽培に変更し、不況克服を勧めたことです。
 これによって共同経営組合ができ、発展していきました。


一大転機となった用地買収の協力


 明知の圃場整備事業が終わった途端、トヨタ自動車の高岡工場の用地買収が昭和40年から始まりました。
 翌年には完成して、カローラを生産してました。買収に当たって、トヨタ自動車側は張富士夫さんが明知下の窓口になりました。
 張さんも明知下も短期間のとりまとめでたいへんな苦労がありましたが、今のみよし市の発展の基礎が作られたわけです。

 他にも明知下に尽力した先の人々や、日露戦争や太平洋戦争で若くして亡くなった人々など郷土の人物を知って欲しいです。
 



 編纂委員会はスタートしましたが、みんな原稿書きが不慣れでなかなか進みませんでした。
 委員会の構成は現役の若い人が多く、仕事を持っていたので、原稿書きが遅れがちでした。
 校正で間違いをなくすために、たいへん苦労しました。訂正が正しく行われているか、確かめる組織が必要でした。訂正ゼロを目指しましたが、残念なことに人名や年号が合わなかったところがあります。

 監修をして下さった桜花学園大学の西田真樹先生は、打越区誌の監修者でしたが、講演会を3回もしてもらい丁重にご指導いただきました。始めの章立てをする時と、大体の原稿が出た時によく見ていただきました。
 後半は各部会の原稿を明知下まで来ていただいて、ご指導を受けました。


地元の歴史を見てほしい


 明知下区誌の特徴の一つとして、女性の寄稿も多く、婦人会、母親クラブなど29名の方が協力して下さいました。このことは他の区誌ではないことです。
 発行にかかった経費については、カラー写真を載せたり、表紙や間紙に凝ったりしましたので、予算を大幅に超えてしまい、町の補助金を利用しました。
 350部印刷して、区民に一冊2,000円で販売しました。区外からも問い合わせがありました。うれしいことです。

 とにかく、みんなよく頑張てくれました。感謝のほかありません。
 この区誌を読んだ区民が、地元の歴史に興味を持ってくれるようなことがあれば、うれしいことです。
 
 

 
 区誌を発行するまでの体験談を語ってくださった小野田英久さん(令和2年9月6日 明知下公民館にて)


編集後記

 区誌編纂委員会での役員のみなさんは、夜遅くまで公民館2階で頑張って見えました。
 取材や部会委員、協力者も土日祭日なく編集作業に当たっていました。

 普通区誌はB5版なのですが、明知下の区誌はA4版です。
 これは国際規格はA4だから文書もA4に統一するとなった様ですが、見やすい、保管しやすいなどの利点があるようです。

 まだ若干公民館に残っているようです。
 希望の方があれば、公民館事務所まで問い合わせ下さい。

 (区民だより編集委員 伊藤)


参考  明知下区誌
     明知上区誌準備委員会発足記念公演「明知下区誌あれこれ」 平成18年4月9日

場所  明知下公民館
聞き手 区民だより編集委員長・委員
 
 

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