「1日が充実しています。」と話す伊藤敬子さん
 (令和4年2月16日「駄菓子屋ゆめちゃん」前にて撮影)

駄菓子屋さんを始めるいきさつについて

 保育士として勤めさせていただく頃から、退職したらやってみたいこといろいろ夢見ながら、それに向けて準備を進めていました。
 しかし、思いもよらぬ体調不良から、両耳の聴力を失い、あきらめざる得なくなりました。(現在、左耳は人工内耳、右耳は聞こえません)
 古希を迎える頃から、少しずつ体調も良くなり、残された人生を「もう少し頑張ってみたい。」と思うようになりました。
 「若い頃の夢にとらわれず、今この年齢だからこそ出来ることは何か?」
 自分の経験、自宅の環境等から考え、やっとたどり着いたのが「駄菓子屋」でした。
 その思いの中にはこんなことが詰まっています。

 ・大好きな子どもたちとの関りを楽しみたい
 ・地域の子どもたちを楽しませたい
 ・新しい出会いを喜びたい
 ・生涯元気で明るく過ごしたい


 そんな思いがふつふつと湧いてきました。

駄菓子屋さんを立ち上げるについて

 大通り沿いではないので、交通量も少なく安全なこと、駐車場もあり横屋で店開きが出来るという条件の下、「これはいけるな。」と思いました。
 情報源はネット検索のみで、自分のできることをしようと思いました。
 店内をリフォームすることなく、空き棚の再利用でレイアウトを考えました。
 営業許可・仕入れ先・方法・商いでのメリット、デメリット・店内の広さ等を熟知した上で、頭の中で構成は出来ました。
 友人に思いと準備経過を話し、開店に向けての応援の言葉をもらい、さらに前に進むことができました。
 そして、家族に初めて「駄菓子屋をやりたいんだよね~。」と気持ちを伝えると、「とりあえず、できることから始めてみたらどうかな?」と私の
思いを素直に受け入れてくれました。
 同時に気がかりだった「お菓子の仕入れ」は協力してくれると・・・
 この言葉で何の迷いもなく、楽しく準備が進みました。

屋号は「駄菓子屋 ゆめちゃん」

 地域の子供さんから「ゆめちゃん、いこ~う!」と誘い合って元気に来てもらえることを願い、そして誰もが大きくなったら、「あんなことしたい。」「こんなことしたい。」と夢を持ってくれたら嬉しいなと思います。

 7月7日 七夕にオープン

 「みなさんが来てくれるだろうか・・」という不安はあまり感じませんでした。
 一人でも二人でも「明るい笑顔が見れたら・・・」という気持ちしかなかったです。
 徐々に人のつながりが増え、ゆっくりと「駄菓子屋ゆめちゃん」は波紋のように広がっていく嬉しさを感じました。
 商売が上手くいくかは二の次、楽しければ良いと思っている。

 


経営する「駄菓子屋ゆめちゃん」 (令和4年2月9日撮影)
  
 実際に始めてみて、わかることがたくさんある。
 「いや、始めて見なければ何もわからない・・・。」と感じるこの頃です。
 今の気持ちは「本当に始めてよかった。毎日が楽しく充実している。」それにつきますね。
 みなさんに長く親しんでいただけることが何よりです。
 そのために何が必要なのかを考えながら進めていきます。
 大半は子どもさん相手のことです。
 お金の大切さ、上手な使い方なども様子を見ながら言葉かけするように心がけています。
  「駄菓子屋ゆめちゃん」の内部 (令和4年2月9日撮影)

  
子どもには楽しく、大人には昔懐かしい駄菓子の魅力 (令和4年2月9日撮影)

接客を通しての地域の子どもの姿


 あいさつがよくできます

 ・こんにちは~
 ・ありがとう(ございました)
 ・さようなら(また来るね~バイバイ!)
 
 ゴミ処理もきちんとできます。

 (ゆめ) 車に気を付けて帰ってねぇ~
 (子ども) ありがとう~と手を振る姿が見れて嬉しいです。

 ゆめちゃんに跳び込み「今日テスト、100点だったよ!」と嬉しそうに伝えてくる子もいます
 
 嬉しくなってつい、「がんばり賞」を出してしまうゆめちゃんです。

 塾やスポーツに通いながらでも、息抜きの一つとして「ゆめちゃん」を利用しているご家族もいます

 ホントに微笑ましい姿です。

 女子中学生の受験勉強の息抜きの場としても利用されています



今日も子どもたちがお菓子を買いに来る (令和4年2月17日撮影)
エピソード
 
 A君・・・「ゆめちゃん」お店もう止めちゃうの?
 ゆめ・・えっ?止めないですよ。
 A君・・・止めるって聞いて、びっくりして聞きに来た~。

 お願いだから止めないでと手を合わせてました。

 ゆめ・・もっともっとおばあゃんになるまで止めないので、大きくなっても来てね~。
 A君・・・よかった~

 と笑顔を見せてくれました。

こんな嬉しいこともありました

 クリスマスイブの日、菓子袋が店先に置いてありました。
 気がついて、「誰のかしら・・忘れものかな・・・」と思っていたら、A子さん、「サンタが持ってきたんだよ!!」と。

 皆が帰った後、そっと誰かを教えてくれました。
 男の子でしたが、ステキな感性の持ち主、「すごい!!」と感動しました。
 そのプレゼントは一生食べられないですよ~。
 お菓子が腐るか?私が腐るか?(笑)

 まだまだふれあいの姿が見られます。
 
 兄弟のふれあい
 ・親子のふれあい
 ・祖父母のふれあい
 ・友達同士のふれあい


 月に一度来て下さる、ご高齢のお客さまとの会話で得るものがあります。

 「いくつになっても、人生勉強だな。」と痛感しています。
 そんな楽しい様子が、私の頭の中にアルバムとして作られていく日々に感謝しかありません。

今後について

 お店はお菓子の種類を検討しながら、さらに子どもさんたちに楽しめるよう、心配りをしていきたいと考えています。
 隣の部屋にマンガや絵本が収納されています。
 興味を持ってもらえるように設定し、コロナが収束してマスクなし生活が出来るようになりましたら、マンガ部屋として開放したら楽しいかな?と夢を広げています。

「駄菓子屋 ゆめちゃん」の場所はこちらからどうぞ


編集後記

今回「駄菓子屋ゆめちゃん」を取材して、伊藤敬子さんから文章でご返答いただきました。
その文章をそのまま掲載することにいたしました。
「駄菓子屋ゆめちゃん」に対する思いが詰まっていて、みなさんにうまく伝えられたのではないかと思っています。
伊藤さんが楽しんでお店を開いているのがよくわかります。

昔はあちこちにあった駄菓子屋さんも、今ではスーパーマーケットに吸収され、ほとんど見なくなりました。
子どもも大人もワクワクする駄菓子屋さんがご近所にあるというのは、ある意味では貴重と思います。
「駄菓子屋さん」って不思議な魅力がありますよね。
長く続けて頂きたいと思います。


区民だより編集委員(伊藤)


 


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