マルハチ㈱倉庫東に小さな祠があるのをみなさん、ご存じだろうか?
毎日通っていても、わりと気が付かない人は結構みえると思う。
ここには「蓮池大龍神」が祭られている。
「龍神」とは龍の姿をして水中に住み、水をつかさどる神ことでその昔、蓮池には明知村を守る龍がいたと言う。

 入口の記銘杭

 龍神さんの祠


ここに明知下区誌より抜粋した文章によると、
※「広報みよし」平成12年3月15日、4月1日号、故深谷光子さんと深谷とみ子さんの寄稿文より
(1) 蓮池について

昔はお宮さんの下ぐらいが池になっていて、今の倍の広さはあったと思います。
毎年季節になると蓮の花が池一面に広がって、それはそれはきれいなものでしたよ。
秋になると村の男の人たちが総出で池もみをして鯉や鮒を捕まえたり、蓮の根っこのレンコンを泥の中から掘り出したりして、村中の家に分けて、お祭りのごちそうにしたものです。

(2) 龍神さん

今から100年ほど前でしょうか、隣の堤(豊田市堤町)から祈祷師さんが来て、時々お参りしていたことを聞きました。
雨の少ない年は雨乞いをして神様にお願いしていたそうです。
龍神さんを祭ったのも、そのためだったと思いますよ。
ある時、祈祷師さんと私の家の本家のおばあさん(深谷彌蔵氏の母)がお参りをしていた時に突然、錦色の大きな龍神さんが現れ、すごい勢いで蓮池を泳いで渡っていったのを見たそうで・・・。
それで村中大騒ぎになったそうですよ。
「龍神さんは深谷家の守り神だし、明知の村を守ってくれる神様だから・・・」と主人(釚太郎氏)がよう言ってましたね。

(3) 白い蛇

龍神さんが現れてしばらく経った頃、本家のいとさん(深谷彌蔵氏の妻)が祠の近くで白い蛇を見つけ、その蛇が非常に弱っていたそうです。
その頃、明知下では仕事でけがをする人や病気になる人がいました。
いとさんが「誰か白い蛇を祭ってある祠を直してくれんだろうか。」と思っていると、近くのマルハチ肥料の深谷武市さんが屋敷へ祠を移して、毎月お参りも続けてくれるようになりました。
その後2回ほど祠を作り直しましたが、直すたびに白い蛇が祠の中に住んでいたそうです。
愛知用水ができて水に困らなくなりましたが、昔の人が本当に大切にして龍神さんを祭った行事を「忘れてはいけない」と思います。
 


1860年代、領守大岡越前忠敬も蓮池の花を観賞していったと言うくらい池には蓮の花がたくさん咲いて、とても綺麗だったそうだ。
今の蓮池には蓮の花は全然咲いていないが、ほんの10年ぐらい前までわずかの蓮の花を区議員さんたちが、網で囲って保護していたのを覚えている。


   
参考文献
 明知下区誌  三好町明知下区
     
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