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 1 アームチェアの製作過程 2002.10.1記

アームチェア(板座)

座 3oペーパーコード編

写真はクリックで少し大きくなります。

 

 


  椅子は他の家具と違い、直接触れ続ける座り心地が加わり
  ますので、初めての形状や仕様を一度の制作で満足させる
  椅子に仕上ることは至難の業です。何度もの試作や改良の
  繰り返しで少しづつ完成度の高い椅子に仕上がって行きま
  すので、作るたびに設計したR、角度や寸法と座り心地の関
  係を検討して自分なりの値を掴んで行くようにします。
  しかし椅子は座り心地だけでなくスタイルも非常に重要です
  から、座り心地だけ考えればいいほど単純ではありませんし、
  そこが難しいところであり楽しいところです。

  写真(上)のアームチェアについて製作過程を書いていきま
  すが、Exhibitionに有ります下の写真の椅子を元にして設計
  しています。
  この椅子はオーダーで小さいお子さんも座られるそうで、汚れ
  メンテを考えて板の座にし、座布団を使うことも考慮して水平
  フラットにしてありますし、シートハイも少し低めの380ミリで
  す。また後ろ足下部は概観上の好みから、アールを付けて少
  し反りを入れて欲しいことと、アーム(肘掛)は今ある椅子に合
  わせて、幅を75ミリ程度にして後ろ足の両外には取り付けな
  いで欲しいとの要望から、背板側幅は前部幅より50ミリ絞っ
  て有りますので、大きめなアールを取り後ろ足前より差し込ん
  でいます。
  またこの椅子は座が板張りで、座枠としっかり組みますから
  椅子全体の強度が上がりますので、価格を抑えるために全
  て1枚の通しホゾで楔を打って組んであります。
  これがロープやペーパーコードによる編む椅子では、面によ
  る保持がありませんのでフレーム(框)のみで剛性を出すこと
  になり、基本的には全て2枚の通しホゾで楔を打って組んでい
  きます。また場合によっては3枚の通しホゾで組む所も出てき
   ます。
  ただしこれはベニマツのような軟材の場合には、その程度
  のことはしておかないと耐用年数に不安が出てきますが、広
  葉樹などの堅木の場合には、そこまでのホゾにする必要はな
  いでしょう。この辺りについては樹種はさまざまですから、自
  分の扱う木よりケースバイケースで対応することになります。

    前足間の貫位置は、元の椅子ではなるべく足元の邪魔にな
  らない事を最優先して、少し後ろにずらし左右の貫間に入れ
  ていましたが、作りやすさを優先して貫は前足間とし、その代
  りに少しでも邪魔に成りにくにように貫位置を上に上げ、部材
  の歩留まりは悪くなりますが、後方向に湾曲させています。
  実用的で使い勝手に良い椅子を考える場合には、この足元
  部分の貫処理は非常に大切で、全体の構造から考えていく
  必要がありますが、作業性も加味しながら、邪魔にならない
  ように十分検討しておく必要があります。
  また、通常座面が板の場合には反り止めの吸い付を入れて
  組みますが、ここでは価格の面から座枠(貫)よりビス止めに
  して有ります。